わたしの一言

2020年03月02日

長岡に伝わる「十分杯」

ある会議で聞いた話をちょっと紹介します。

今から約300年前の長岡に伝わる話でした。
人々の生活水準も向上し余裕ができ、武士たちも華美な生活をするようになってきた。その時、3代長岡藩主“牧野忠(ただ)辰(とき)公は、ある庄屋の持参した「十分杯」に感銘を受けた。ほどほどまでなら普通に杯として使えるが、並々注ぐと底の穴からすべて流れ出てしまうというものでした。

十分杯というのは、今でいう「サイフォン式の杯」です。
写真のように真ん中に飾りが立っている。その飾りの中に管が通って、底に穴があいている。この十分杯に八分目程度を超えて注ぐと、中に入っていたすべてのお酒が底の穴から漏れてしまうため、杯の中は空になる。

これを見た忠辰公は、「物事は八分目位の余裕を持って行動すれば、万事うまくいく」と説いて、自らを戒めたとともに藩士の引き締めを図った。そして、この十分杯で“満つれば欠く”という処世訓を示した。十分杯には、「何事も、ほどほどに」という戒めがある…という話でした。皆さんはどう感じますか。
後日、長岡の友人から十分杯が送られてきた。

(匿名)